2015/7/27 Mon

第3回:環境税とBid Price(後編)

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第3回:環境税とBid Price(後編)

安井 翔太

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 チーフデータアナリスト

2013年サイバーエージェントに入社。 入社前は、ノルウェーの大学院で応用経済学の研究をしつつ、環境税作成プロジェクトにデータアナリストとして従事。現在は経済学の考え方をデータ分析の切り口としてインターネット広告代理店の現場におけるデータ分析全般を担当。 休日にもデータ分析をしており、自分の住む部屋をデータ分析で決めたりしている。

こんにちは、データアナリストの安井です。今回は、前回のつづき「環境税とBid Price」の後編についてお話させていただきます。

前編第2回:環境税とBid Priceは、Externality-base bid adjustmentの基本的な概要についてお話しました。大枠の話としては、市場の仕組みに欠陥があることでデータが欠損し、それ故に虚弱性が起こります。その虚弱性に対応するために、データ欠損に対し何らかの対処を行う、という話でした。
環境問題を引き起こすような商品の市場においては、このような状況をよく見受けます。
例えば、自動車が走行すると排出ガスによる汚染を発生させてしまいます。そこで、仮に車が非常に安価な状態になり世の中に大量に出回ると、環境汚染は今よりも更に進んでしまうことになります。

本件に対する有効な対応策は、「自動車を出回らせない」ということで、自動車の出荷台数を制限することが出来れば、その分の汚染量も同時に制限することが可能となります。
市場に制限を加えて実行することも可能ですが、一般的には、一定の距離を走る毎に自動車から出る排出ガスの量に対し、税金を課す策をとっています。
つまり、税金を課すことで自動車を利用する価格をつり上げ、消費者にとって手軽に買いやすい状況にしないことで、結果的に環境汚染を制限しているのです。

この税金の利用方式には2つの良い点があります。
1つは、税金として徴収した分を別のことに利用出来るという点です。
もう1つは、税金が自社プロダクトに掛かるのを避けるために企業が努力するという点です。例えば、自動車1台あたり5千円の追加コストで汚染量を減らし1万円の環境税を削減出来るのであれば、企業はこのような努力を行うことが合理的になります。
さて、ここで広告の話に戻りましょう。
送られてくるリクエストのデータに欠損があるという問題があり、その欠損に対して何らかの金銭的なペナルティが課せられた時、この状況は汚染量に税金を課せられた自動車と同じ状態となります。

欠損しているすべてのリクエストで、例えば本来より10円安くなってしまう等といった入札金額に一定のペナルティが課せられると、メディア側の収益が一定量落ち込んでしまいます。
よって、メディア側には欠損を回避するためにある程度のコスト(但し、受けるペナルティよりも多くない程度の)を支払うモチベーションが発生します。

この結果、メディア側がペナルティに気がつけば欠損の問題にある程度対処する様になります。そうして、メディアから送られてくるリクエストにデータ欠損の問題が起きにくくなり、最終的には入札がより適正な価格で行われるようになります。
今までのProgrammaticな広告の取引市場は、基本的には自由な市場でした。しかしプレミアムな枠を限定的な広告主に解放するPMPや、今回のExternality-Based Advertisement Bid Adjustmentだったりと、売買のすべてを自由な市場に任せてしまうのではなく、制約を“仕組み”として導入するというテコ入れが行われるようになってきました。※今回でいうと、税金。

市場をより良いものとするために、技術だけでなく“仕組み”もきちんと使われるようになってきています。
それは、非常に面白いと思いますし、そういった“仕組み”を自分自身が今後、組み立てていきたいなと考えています
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