2015/8/31 Mon

Facebookにおけるマーケティングの変化とこれから (後編)

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須田伸(すだ しん)氏

Facebook Japan株式会社 執行役員 マーケティング本部長

大志摩 丈嗣(おおしま たけし)氏

Facebook Japan株式会社 マーケティングサイエンス責任者

伊達 学(だて まなぶ)

株式会社サイバーエージェント 執行役員 インターネット広告事業本部 統括

木村 暁生(きむら あきお)

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 インフィードセールス局 局長

Facebook広告におけるマーケティングの変化とこれから ~後編~

Facebook Japan株式会社より須田氏、大志摩氏をゲストにお迎えし、Facebook広告の現状と活用について、当社執行役員の伊達、ソーシャルメディア担当の木村と4名で対談を行いました。
Facebook広告の変化やFacebook独自の調査による最新情報などを、前編と後編に分けてお伝えします。

前編記事は【こちら】よりご覧ください。

Facebook広告の計測について -マルチデバイス計測-

大志摩氏:一般的に、現在cookieでの計測だと、モバイルからPCなど、マルチデバイス計測ができないじゃないですか。そこは、モバイル出稿の壁だと思っています。

CA伊達:それは動画においても同じことが言えますね。

大志摩氏:現在、Facebookではマルチデバイス計測ができるだけでなく、ニールセン社などが保有する新しいツールとの開発で、複数のプラットフォームにおけるリーチ計測ができてきています。cookieではあるものの、彼らのパネルを使って、人ベースに落とし込むことができます。かなり精度が高く、様々なプラットフォームの正確なリーチが取れてきています。先ほど、クリックよりもリーチやインプレッションが大事という話をしましたが、インプレッションは、ユーザーのフリークエンシーが高いほど、態度変容が起きやすいということも分かっています。

CA伊達:私も同感で、将来的なスマートフォンの広告の伸びしろが大きいと思う理由は、やはりマルチデバイス計測が実現していないことにあると思っています。自分の行動を見ても、スマホで興味のある物を見て、買うのは家に帰ってPCで購入する、というのはよくあります。

大志摩氏:そうですね。私の手元のデータでも人が購入をする時には、スマホからPCのように、小さい画面から大きい画面に移っていくことが明らかにされています。

CA伊達:当社のお客様もそうですが、スマホだけでダイレクトコンバージョンを狙うと、「効果が合わない(=CPAが高くなる)」という結果になってしまうんですよね。なので、実際の配信は、リタゲが多いんです。でも、ユーザーはスマホが多いので、スマホにおいて購入意向度やブランド認知度を上げる行為は、無駄ではないというのはもっと伝えていきたいですね。そのようなことから、マルチデバイスの計測が肝だと私は思っています。

大志摩氏:マルチデバイスというのは、デバイスと広告技術に話を向けた言い方だと思うんですけど、マーケティングを担当している人からすると、単純にマーケティングファネルの、上のところ(認知)を増やそうよっていうところですよね。そういう発想ができると、世の中がすごい変わるのかなっていう気がします。当然それも、認知を広げて、徐々にストーリーを変えていって、検討していただく。認知を多く獲得すれば、自然に購入などの成果も増えるじゃないですか。そういう当然のことをもっとやれば、効率が上がってくると思います。例えば認知を獲得して、その後に、その広告を見た人だけに、今度は購入検討を促すような広告だったり、もう少し理解を深めるような広告を配信して、成果に繋げる。そういった、ファネルを上から下まで動かすというような発想で、もっと広告のコミュニケーションをしていただきたいですね。それが、Facebookだと、人ベースでできます。

Facebook広告のセグメントの精度 -アドインデックスの調査例-

大志摩氏:当社では、カンター・ジャパン社と一緒に、5分程度の「アドインデックス」という調査を行っています。簡単に仕組みをご説明しますと、広告における“コントロール”と“接触”を作っています。単純な事前・事後の調査ではなく、キャンペーンの前に、ランダムでグループ分けをして、広告を配信するグループと広告非接触のグループ、両方に同じアンケートをとり、態度変容を比較するというものです。アンケートでは対象者の性・年齢のプロフィールも聞きます。
100万人への配信の中で、300人くらいのサンプルではありますが、接触者の性・年齢から、キャンペーンのターゲット含有率が、平均して、98%という結果になりました。先日は100%になったものもありましたし、低くても大体95%くらいです。cookieだと、大体20%から80%と言われています。
CPMについて考えてみても、本当に届けたいターゲットに、例えば広告が半分しか届いていなかったら、100%届けるには、単純にCPMを2倍にしなければならないということになってしまいますよね。FacebookはモバイルにもPCにもリーチし、デバイスを関係なくその精度を保って広告を届けることができます。そういった部分をもっと、皆様に活用していただきたいと思っています。

CA伊達:それはすごいですね。精度の高いデモグラフィックのセグメントが切れる媒体は、それだけで高い効果が出ますよね。

須田氏:一方で、ターゲティングの精度を高めて、ターゲットを絞りすぎてしまうと、ポテンシャルの高い顧客に広告が配信されないというようなケースもあります。なので、Facebook広告では、あえてあまり細かくセグメントしすぎずに、例えば「何十代以上女性」くらいの、ざっくりとしたデモグラフィックで配信します。そうすると、Facebookが自動的に最適化して、最終的なコンバージョンや回答、Webサイトへの訪問などのデータを見て、あるデモグラフィックの人が反応することがわかると、そこに対して、より優先的に配信されるようなシステムが働きます。
精度の高いターゲティングができるということに加えて、そういった自動的な最適化が効くということも、Facebookの特徴の1つです。

動画広告の効果計測

CA伊達:当社では、オンライン動画広告の計測に関して、マクロミル社と連携して、計測に「認知」、「ブランド利用度」、「購入意向度」などのアンケート調査を入れるという取り組みを行っています。これまで広告代理店では、キャンペーンの事前事後の調査で、認知リフトアップを計測していました。当社のサービスでは、最初の7日目で調査を入れて、効果の良いクラスターに対する配信を強めるなどのリアルタイムの運用が可能で、現在その事例データをノウハウとしてかなり溜めています。 
今後、Facebookで動画広告を出稿する際に、Facebook側から提供いただける計測のサービスやサポートはありますか?

大志摩氏:一部のお客様で、効果を実感していただくために、先ほどの「アドインデックス」という調査を行っていますが、視聴深度という軸では現在は計測していません。Facebookの動画広告は結局、観られなかったら写真広告と一緒になってしまう。だから、それを接触者と非接触者で、キーの指標である「ブランド認知」、「好意度」、「購入意向」などでどれだけリフトがあったかを見ていますが、例えば、30秒観たらどうなった、といった調査は実施していません。
というのも、視聴深度に関する調査は、以前アメリカで実施しました。ニールセン社が、過去173本の動画広告において、ブランド想起、広告想起、それから購入意向を視聴深度によって調査しました。結果、全指標において、始めの3秒で、広告への接触・非接触で、効果が分かれました。実はもう、10秒の段階で、およそ7割で効果が出ています。
それは、Facebookの広告のフォーマットの特徴だと思います。まず、自動で再生される動画が真ん中にあり、その動画によって、広告想起がされ、その上のテキスト表示によりメッセージが想起されます。その上に、ロゴとブランド名が表示されているので、ブランド想起に繋がります。
お客様から、ユーザーの完全視聴を約束してほしいと言われることもありますが、実際は完全視聴がなされなくても、実は動画広告の効果はあるということが、調査で分かっています。

CA木村: 視聴の質という点で、完全視聴を重視する声がまだまだ多い現状を考えると、その調査は面白いですね。
CA伊達:認知のリフトアップは、単純に接触・非接触者ユーザーに、アンケートをとっていらっしゃるのですか?

大志摩氏:アンケートでとっています。ニュースフィードに、「あなたのご意見をお聞かせください」というお知らせが出てきて、それをクリックすると、アンケートフォームに飛ぶようになっています。
ただ、接触・非接触という軸での調査は、ある程度やり尽くした感があるので、今後はマルチセルでシナリオを変えて、変化がどう出るか。例えば、コントロール×フリークエンシー4回、8回・・・それで効果を見るなど。そういった、単純に効果があったものではなく、そこから学びを得られるような、仮説を立てた調査を積極的に行っていきたいと思っています。

CA伊達:それは是非やりたいですね。

大志摩氏:もっと簡単な調査の例ですと、ニールセン社の「ブランドエフェクツ」というものがあります。それはシンプルに3問の質問が出るだけのものです。
「広告認知」「ブランド認知」「好意度」など。1問ずつ、別の人に別々に聞きます。ある人には「広告認知」の質問しか出ず、別の人には「好意度」の質問が出る、といった具合です。その3問を集計して、リフトを見ます。

須田氏:他の媒体で調査を行うと、非接触のユーザーも、実は他の媒体を通じて広告をすでに見ていたために、その広告を知っているという結果が出てしまって。コントロールと、接触力で差が出ないという結果になるケースもあります。そういった点が、調査の面白さでもあり、難しさでもありますね。

大志摩氏:他にも、最近行った動画広告における効果測定の良い事例があります。ビズリーチ社の「キャリアトレック」というサイトの広告を、3つのセルで調査を行いました。1つは、広告非接触のユーザー、もう1つはリンク広告のみに接触したユーザー、もう1つは、動画広告+リンク広告に接触した(動画広告に触れたあとに、リンク広告を表示)ユーザーです。結果は、動画広告+リンク広告が、他に比べてCPAが10%くらい下がっていました。これは、ダイレクトレスポンスのお客様にとっても、動画広告は効果があるということが実証できた、画期的な例になりました。例えば、リーバイスでは、動画を見終わった人向けに、ターゲットに適した異なるストーリーのクリエイティブを出すコミュニケーションをとって話題になりました。そういった、人ベースでストーリーテリングができるというFacebookの特性をご理解いただいている方は、リーバイスのようにそれを上手く活用したコミュニケーション戦略や企画ができると思うんですよね。そういう方がどんどん増えてくると、もっと、ユーザーの方々にとっては、煩わしくなく、むしろもっと心に響くような広告が、Facebook上で増えてくると思います。

テレビCMからデジタルへ

大志摩氏:先日聞いた話で、海外の代理店さんの事例をお話します。今までは、テレビCMを基軸に、そこにデジタルをどう掛け合わせるかという発想だったのを、これだけデジタルにリーチがあるから、まずはデジタルから考えて、そのあとにテレビCMで補完しよう、という発想に変えたと仰っていました。また、それが高い効果を上げているそうなんです。

CA伊達:プランニングの発想の起点を、ダイレクトにデジタルに持っていったんですね。

大志摩氏:やっぱり、海外だとそういうことがあり得るわけです。テレビの視聴が減ってきていて、デジタルがユーザーの生活にどんどん浸透していっている。あとは、人材の話ですが、例えば日本の代理店の方と話していると、テレビCM枠を販売している営業マンと、デジタルの枠を販売する営業マンって発想が全然違うじゃないですか。でも海外では、テレビCMもデジタルも取っ払って、皆「Video=動画」を販売している営業マンだ、と言っていて驚きました。日本でも、そういった昔からの括りが変わる時代が来ると面白いと思いますね。広告の価値が大きく変わると思います。

須田伸(すだ しん)氏

Facebook Japan株式会社 執行役員 マーケティング本部長

大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1992年より博報堂制作局にてCMプランナー/コピーライターとして8年間勤務。Yahoo! Japan、サイバーエージェントを経て、2012年4月よりFacebook Japanに勤務。著書に『次世代広告進化論』『次世代広告テクノロジー』『時代はブログる!』など。

大志摩 丈嗣(おおしま たけし)氏

Facebook Japan株式会社 マーケティングサイエンス責任者

Facebook Japanで広告測定及び調査を担当。米系のソフトウェア会社、英系のマーケティングコンサルティングの会社を経て今にいたる。趣味は絞り染め。

伊達 学(だて まなぶ)

株式会社サイバーエージェント 執行役員 インターネット広告事業本部 統括

2002年 株式会社サイバーエージェントに入社。入社以降インターネット広告事業に従事し、現在は統括を務める。2014年 執行役員に就任。

木村 暁生(きむら あきお)

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 インフィードセールス局 局長

2010年に株式会社サイバーエージェントに入社し、広告事業の子会社である株式会社TMNの立ち上げに参画。その後、子会社の株式会社サイバー・バズにて、ソーシャルメディアを中心としたPR業務に従事。2014年にインターネット広告事業本部に異動し、スマートフォンのプラットフォームやメディアの販売責任者として、バイイング・コンサルティング・セールス業務に従事。

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