2016/4/26 Tue

テレビ比較でリーチ効率200%を実現! VAIO社の動画広告成功の秘訣

TAG:

~ターゲットを絞り“無駄打ちゼロ”に~

堀 泰士 氏

VAIO株式会社 事業企画室 兼マーケティング担当 執行役員 事業企画室室長

椎木 由美 氏

VAIO株式会社 マーケティング課 課長

上野 逸人

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 シニアアカウントプランナー

田口 彩人

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 シニアプランナー

2014年7月にソニー社から独立したVAIO社。その後発売を開始したビジネスパーソン向けの新商品「VAIO S11」における新たなチャレンジとして、オンラインメディアを活用した、動画広告プロモーションを実施。
VAIO社より、堀氏、椎木氏をお招きして、本プロモーションを担当した上野・田口と共に、どのような取り組みをし効果を上げたのか、インタビュー取材を行いました。

プロモーション実施の背景

椎木氏:今回の「VAIO S11」の発売以前は、VAIOが2014年にソニーから独立したタイミングだったということもあり、 “VAIO株式会社が新たに歩み始めます”という企業メッセージも込めて、フラグシップモデルの「VAIO Z」のプロモーションを、マス広告を中心に行っていました。しかし2015年末以降は、しっかり地に足をつけてビジネスとして伸ばしていくというフェーズ に入り、ターゲットに着実にリーチをして売上に繋げていきたいという思いがありました。
また、一つ一つの商品というより、VAIO全体で一つのイメージを作り出し、顧客により身近に感じていただけるようなコミュニケーションが必要だと考えていました。

堀氏:あとは、これまで実施したプロモーションでは、VAIOファンの方にはだいぶ商品の特性やメリットをご理解いただいた実感がありましたが、VAIOをあま り知らない方にも商品について知っていただきたいという思いがありました。それをどう効率的に伝えていくかが、大きな課題でした。
テレビだけで実施すると、リーチできる層が広範囲すぎるので、限られた予算の中でいかに効果的な結果を出すかということを社内で議論していましたね。
CA上野:御社のプロ モーションを担当する前に、私は既に御社がマス広告を中心にプロモーションをされていたことは知っていました。ですが、1人のユーザーとして客観的にみる と、自分がターゲットの1人であるにも関わらず、そのプロモーションに対して自分事化ができていないというのが課題の一つだと感じていました。それを解決 するものは、2つあると思ったんです。
1つが、クリエイティブの質で、もう1つは本当に伝えるべきターゲットに対して何回もアプローチをしていくということです。
今回の企画では、クリエイティブについてはクリエイティブディレクターの小霜和也さんが戦略的にもすばらしいものを制作していただいたので、私はそれをどう伝えていくべきかということをひたすら考えていました。発想としては、マス広告のように“多くの人にリーチした結果そこにターゲットがいた”ということではなく、ウェブ広告の特徴である“ターゲットがいるところにピンポイントに出していく”というものです。今回のターゲットはM2層(※)のビジネスマン。そこに対して「無駄打ちゼロ」というコンセプト掲げ、様々なソーシャルメディアを活用し効果を上げる方法をプランニングしました。

椎木氏:自分事と感じていただけるクリエイティブでターゲットに確実にリーチしていく、その発想に共感しましたし、我々の戦略にもマッチしていると感じました。ご 提案を実行してしっかりと運用していけば、課題を解決でき売上に繋げていけそうだと思いました。VAIO株式会社になってからは、ここまでウェブ広告に フォーカスして出稿したのは初めてのことです。
※M2層…35歳から49歳までの男性のこと。

今までのVAIOにない、新たな動画クリエイティブ

CA田口:今回の動画広告のクリエイティブについては、3つのポイントをもとに展開しました。
ま ず1つ目は、ターゲットが親和性のある内容にすることです。ターゲットであるM2層・ビジネスマンが自分事化しやすいよう、俳優の手塚とおるさんを起用し “サラリーマンあるある”をモチーフにしています。2つ目は、動画をメディアの特性に合わせた長さでパターン出しをしたこと。3つ目は、VAIOによるベ ネフィットを伝えるために複数のクリエイティブを用意したことです。各メディアの特性に合わせて配信するために、長尺3パターン、短尺8パターンの計11 パターンを制作しました。
【長尺】VAIO S11 静寂篇
【短尺】VAIO S11 静寂篇(ショート)
【短尺】VAIO S11 非常識なこだわり篇
椎木氏:ウェブ広告のクリエイティブでタレントさんを起用するのは初めてでしたが、 VAIOが新たな一歩を踏み出すには、今までには全く想像がつかないようなクリエイティブや手法をとっていかなければならないと感じていました。 ビジネスマンにとってVAIOは、使っていて心地良い“ビジネスの快”というのがコンセプトでしたので、手塚さんはその伝道師としてすごくマッチしていた と思っています。
ただ同時に、ユニークすぎて、今までのVAIOを知る方々から「VAIO…どうしたの?」というふうに思われるかもしれないとい う不安もありました。でも本当に面白いと思っていただかなければ、その先のブランドコミュニケーションも達成できないと考え、少し大胆なクリエイティブで したが、チャレンジすることにしました。

堀氏:いただいたチャレン ジングなご提案はVAIOにとってすごく大きな変化でしたので、社内で議論をした時は、実は賛否両論あったんです。ただ、VAIOが独立してから新たに開 発した端末を世に出す。その価値を顧客の皆様によく理解していただくには、クリエイティブをはじめ全般的に今までのやり方の延長ではなく、大きく変化して いく必要があるので、最終的に我々マーケティング担当メンバーの中では、一番驚くような選択肢を選びましたね(笑)。結果的には良い効果が出て良かったと 思っています!

配信メディアの選定

CA上野:今回、配信メディアについては、3つの軸でご提案をしました。

①情報を伝えるリーチメディア(Facebook、Twitter、YouTube)
②メインターゲットであるビジネスマンに対し、VAIOの“ビジネスの快”というムード作り(SmartNews、Gunosy、Spotlight)
③アンバサダーを作るメディア(Instagram)


ビジネスマンに加えて、学生など若年層にもリーチしたいというご要望もありましたので、メディア別での目的、具体的なターゲットの設定をはじめとする戦略のご提案をしました。

椎木氏:これまでも純広告を中心にウェブ広告の出稿はしたことがありましたが、今回の出稿先はどれも初めての媒体でした。個人的にもFacebook、 Twitter、YouTubeは、日頃から馴染みのあるメディアで、ターゲットであるビジネスマンも、仕事中あるいはそれ以外でも接触すると思ったの で、是非実施してみたいと思いました。ターゲットをピンポイントに絞り込めるという点も、こちらの媒体が良いと思った理由の一つです。

プロモーションで得られた効果

CA田口:結果として、各媒体でターゲットユーザーに対して、フリークエンシーを非常 に高く当てることができました。今回のターゲットであるM2層は、実はあまりテレビを観ていないユーザーも多いんです。今回、オンラインの各所で手塚さん の動画が出て関心を持っていただき、それから検討というステップを、うまく設計・計測でき、分析することができました。計測できている中だけでも、480 万人に5回以上のフリークエンシーでリーチできました。

椎木氏:480万人のリーチの中でも、当社がターゲットとしていた方には300万リーチできたのですが、もしテレビで同じ層に出稿をした場合と比較すると、約2倍の効率でリーチができました。また、過去のテレビCM中心のキャンペーンと比較して、キャンペーン全体での集客単価を30%削減することができました。

効果を出せたポイント

CA上野:効果を出せたポイントとしては、まず始めに各メディアに役割づけをし、KPIを明確に定めて追い続けた運用の部分が大きかったと思います。リーチ数が大きいメディアについては、どれだけインプレッションを出してしっかりターゲットに当てられるとかというところ を、定点的に観測していました。また、ウェブ広告とマス広告の大きな違いは、フリークエンシーごとにクリエイティブの出し分けができることです。合計で 11種類ほどのクリエイティブを制作しましたが、クオリティの高い運用によってそれぞれがしっかり当たる状態を作り上げました。そのような短期的な PDCAにより、最終的には効果の良いもの・悪いものを選定し、次のクリエイティブに生かすような中期的なPDCAを意識して運用できたことが、結果的に は定量・定性的な効果向上に繋がったのではないかと思っています。
CA田口:ウェブでは最近だと短尺、長尺様々なパターンが出てきています。 YouTubeなど、動画を観に来ているユーザーには、60秒のものもしっかり観てもらえるとか、逆に、FacebookやTwitterはスパッと短く 10秒あたりでメッセージを切るものの方が反応してくれるなどの結果もあります。それはやはりクリエイティブだけの話ではありませんし、メディアをうまく 設計するだけの話でもありません。今回は、ウェブの生態系に合ったクリエイティブをうまく作ることができたことが非常に良かったのではないかと感じていま す。

椎木氏:そうですね。あとは、もちろんクリエイティブが面白かっ たというのも大きいと思います。シリーズで制作しましたが、全体を通して視聴率も高く、最後まで視聴していただいている数も多かったですよね。同業界で ウェブ動画を出しているものと比べても、想定以上にたくさん視聴していただくことができました。

課題と今後の取り組み

椎木氏:現状、VAIOの個人向けオンライン販売のメインはソニーストアなので、まず はVAIOのサイトに集客し、そこからソニーストアに送客し販売に繋げる。コーポレイトサイトであるvaio.comとソニーストア、両方の連携プロモー ションをプランニングしていかなければなりません。最終的な販売にどう効率良く結びつけるかについては、まだまだ改善の余地があると思っており、まさに今 それをサイバーエージェントさんと取り組んでいます。

堀氏:「VAIO S11」のプロモーションがうまくいき、今は他の新製品に対してのプロモーションをしていますが、M2層のお客様に対しては、もうかなりリーチしたと感じ ています。次は、そのリーチした方々をいかに実際の販売に繋げるかが課題の一つです。これは、もちろん広告のクリエイティブや配信メディアもそうですが、 VAIOのサイト側の作りなどにも関わってきます。フリークエンシーが上がってくると効率は下がってくるので、次のターゲットの選定も、今ちょうど取り組 んでいるところです。

CA上野:そうですね。年末のキャンペーンでは、 目的であるリブランディングでリーチをとることができ、良い結果が出せたと思っていますが、あくまで投資なので、ちゃんと回収するというフェーズに徐々に 移行していかなければならないと考えています。パソコンが高単価商材でいつでも買えるものではなく一般的には二年から三年くらい使うと言われている中で、 今回の投資がユーザーの購入タイミングにちゃんと行き届いてマインドシェアを下げないように継続的に運用していくことが今後の課題であり、のびしろだと感 じています。

堀氏:今回、これまでVAIOに接していない新しい顧 客のデータがどんどん蓄積されていっていますので、そこのデータを使ったリターゲティングを、今後いかにうまく回せるかというところが肝心です。少しでも 興味を持って来ていただいた方には、販売にうまく結びつけるもうひと押しをしたいと思っています。

CA田口:リターゲティングの観点でも、動画広告とバナー広告の違いの1つとして、リターゲティングリスト・データの蓄積タイミングがあります。バナー広告では、ク リックしてサイトに訪れたタイミングですが、動画広告では動画をある程度まで視聴したタイミングでリストを蓄積することが可能です。バナー広告は、クリッ ク率がおおよそ1%の非常に興味がある濃いユーザーデータだけになりますが、動画広告は、動画再生率がおおよそ20%の興味関心がある可能性があるユー ザーに対して、継続的なコミュニケーションが可能です。
今後は、この興味関心があるユーザーに対してどのようなメッセージを伝えればより検討してくれるようになるか、PDCAを実施していく予定です。

今後の展望

堀氏:今回、個人の購入についてのプロモーションはうまくいきました。来期は、法人 でのビジネスを強化して、法人の購買担当者やIT担当者に対してどう効率的にターゲティングしてマーケティングできるか。それに必要なコンテンツがどうい うものかということがポイントの1つになってくるので、そこも是非一緒に考えていただきたいです。

椎木氏:今回、パソコン業界特有のレギュレーションもありましたが、そういった部分もご理解いただけたので、今後もご一緒に効率よくコミュニケーションを続けてい きたいです。業界もビジネスも日々変化が大きいので、早い変化に向き合い取り組んでいただける、機動性のある体制をお願いしたいと考えています。

堀氏:そういった体制はありがたいですね。あとは、せっかくSNSというメディアを使っていて、他のメディアよりもユーザーとの距離が近いと思うので、そういった性質を活かして、ユーザーのVAIOミーティングやイベントなどを発展的に実施できたら面白いですね。

CA上野:半年間取り組みをさせていただいて、我々もだいぶ御社のビジネスや今後の課題点を理解することができました。今後は、代理店というよりは、パートナーとし て、VAIOさん以上にVAIOさんのことを知っているという立ち位置になっていきたいと考えています。足元は、今いただいた課題を中心に、新しい課題や ご要望をいただいているので、それをデジタルの力でどのように解決していくかということを早急にご提案したいと思っています。

椎木氏:そうですね。今回取り組んだ部分も活かした次の取り組みをまたご提案いただいて、一緒に新たなチャレンジをしていけたら良いなと思います。

堀 泰士 氏

VAIO株式会社

事業企画室 兼マーケティング担当 執行役員 事業企画室室長

椎木 由美 氏

VAIO株式会社

マーケティング課 課長

上野 逸人

株式会社サイバーエージェント

インターネット広告事業本部 シニアアカウントプランナー

田口 彩人

株式会社サイバーエージェント

インターネット広告事業本部 シニアプランナー

関連記事

RANKING

  • Weekly
  • Total

TAG LIST