2015/10/27 Tue

進化するCriteoの成功の鍵と構想(前編)

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天野 耕太(あまの こうた) 氏

CRITEO株式会社 シニアセールスダイレクター

堀 里恵(ほり りえ) 氏

CRITEO株式会社 チャネルセールスマネージャー

大久保 晶平(おおくぼ しょうへい)

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 ディスプレイ戦略局 局長

澤田 陽介(さわだ ようすけ)

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 ディスプレイ戦略局 シニアコンサルタント

CRITEO社からシニアセールスダイレクター天野氏、チャネルセールスマネージャー堀氏をお招きし、当社のディスプレイ広告のプロダクト担当 大久保、澤田と対談を実施。Criteoのグローバルと日本市場の違いや戦略、今後の展開について伺いました。
前編と後編に分けてお伝えします。

Criteoが日本で成功したポイントとは?

CA澤田:今でこそ、ダイナミッククリエイティブがディスプレイ広告における主流となり、Googleやその他DSPも、アルゴリズムをいかに適正に使うかといったところに議論が集中してくるようになっていますが、貴社が日本で展開を開始した2011年頃は「フィード」という単語すらよく分からないといった声もありました。そのような中で、ダイナミックリターゲティング広告として高い技術を持つCriteoが日本市場でも成功できたポイントはどのようなことだったのでしょうか。

堀氏:当時は広告代理店の皆さんに売っていただくのにも時間がかかったので、ダイレクト販売をしていました。当時から広告出稿していただいている企業のご担当者は、タグについては大体分かるもののフィードには初めて接するという方が多く、Criteoは「技術的なハードルが高いソリューション」という印象が強かったようです。広告主企業の抵抗感をなくすメッセージとして、ECサイトにある“この商品を買った方には、こんな商品がお勧めです”というレコメンド機能をイメージしていただいて、「こういったレコメンド機能を持つバナーをタグとフィードから作って配信するのがCriteoです」とお伝えしました。そうすると、興味を持って出稿していただけるようになりました。
でも、その後のタグの実装が複雑で、フィードの実装もCSVやXMLファイルなので「よくわからない」といったお声もあり、1つ1つコンサルティングをしながら実装をサポートする必要がありました。その流れの中でフィードベンダーが何社も登場してきたり、貴社のように代理店がフィードのサービスを提供し始めたりしたことが、Criteoが日本で拡大する上でひとつのターニングポイントになったと思っています。

天野氏:周辺領域がある程度固まってくると、この潮流は確かだなという感覚ができてくると思います。我々だけではなく、フィード領域でいうとGoogle社のPLA(※1)なども急激に伸びていますよね。
我々の事業は広告主の皆さまにはCPC課金、メディア企業の皆さまにはCPM課金でサービスを提供しています。そのバランスをとることが、アドネットワーク各社においても難しく感じられている部分であり、成立させるためにレコメンドエンジンや機械学習の精度を研ぎ澄ませています。このような市場環境だからこそ、日本においてもCriteoはすごく伸びるだろうなと思いました。
※1 PLA(商品リスト広告)・・・ユーザーの検索内容に合わせて商品の画像で訴求するGoogleの広告商品。

日々進化するレコメンドエンジン

CA大久保:レコメンドエンジンはCriteoの肝ですよね。それは、貴社の中ではまだ完成という認識ではなく、今でも継続して開発している項目なんでしょうか?

天野氏:そうですね。マイナーではありますがアップデートは日々ありますね。

堀氏:どのユーザーに配信すべきかというレコメンドエンジンだけでなく、どのバナーを配信すべきかというレコメンドエンジンがあり、双方共に日々アルゴリズムが進化しています。
また2016年には、よりユーザーに受け入れやすいバナークリエイティブを準備しています。例えばフレキシブルにフォントやフォントサイズ、フォントカラーを変えるといったことを動的にできるような展開もしていく予定です。

天野氏:ディスプレイ広告はクリエイティブを表示した瞬間にメディアにお支払いするというビジネスモデルなので、Criteoも初期の頃はクリックレートが高いであろう面やユーザーに多く表示するといった考え方になっていました。でもクリックレートは広告主の企業にとって必ずしも全てではないので、クリックだけでなくコンバージョンなど本質的な指標を重視するといった思想に変わっています。
バナーのレコメンドエンジンに関しても、もともとはクリックされないものを省くように学習していくという考え方だったのを、同じように本質的な指標を見て出し分けをしていくというように進化しています。

CA大久保:各国に様々な実績があると思いますが、それぞれの傾向ごとにレコメンドエンジンなどにおける施策を考えていらっしゃいますか?

天野氏:ローカルの傾向はあって、例えばフランスで効果が高いバナーが日本では効果が出ないこともあります。とはいっても、各国に合わせたレコメンドロジックを作っているのではなく、エンジンはひとつでデータの分析によって結果的に各国に応じたアルゴリズムになってきます。

CA大久保: そうであれば、きちんとデータを取得できる環境が重要になってきますね。

天野氏:その通りです。Criteoとしてはデータをどれだけ集められるかが重要です。念のため補足しておきますと、広告主A社のデータをそのまま広告主B社に流用するようなことは、もちろん行っていません。
一般的なリターゲティングだと、ページを見たユーザーにそのまま広告を出すのが基本の動きです。広告を出したくない場合には、運用の一つとしてタグマネージメントによって出す・出さないの制御をしますよね。でもCriteoの場合はプライベートDMPのように考えていただきたいので、とにかく多くの情報をそのまま送っていただきたいです。どのページを見たから出す、ということではなく、ユーザーがどのように商品を検索して、最終的に買った・買わなかったといったデータを集めることによって、類似の行動をしたユーザーへの予測をすることができます。ですので、データをなるべく多く集めてタグをきちんと貼っていただくことは、初期の実装が大変ではありますが、パフォーマンスに必ず影響すると考えています。

CA大久保:広告主企業によって、配信ユーザーの制限を行う場合がありますが、例えばデータは渡すけれど、あるユーザーには広告を出さないといった仕組みがあれば、タグの出し分けによる広告配信の制御をすること自体がなくなるのかなと思います。

天野氏:そうですね。そのような需要はあるので、データを送っていただいた上でのキャンペーンの作り方、あるいは商品単位での配信量の重みづけなどで制御していただきたいというのが、我々の考え方です。データが途切れてしまうと、特定ユーザーに対し広告を出さないという目的は達成するかもしれませんが、求めていたパフォーマンスの最大化ができないこともありえます。

Criteoが代理店に求めるもの

CA大久保:貴社はグローバルにおいては広告主企業と直接取引をするのがスタンダードで、代理店が販売する日本は特殊ですよね。本来は、貴社と広告主のエンジニアの方と直接話したほうが、実装は早く進むのではと思います。それでも代理店と一緒に進める上で、代理店に求めていることはどのようなことでしょうか?

堀氏:広告主企業が代理店の皆さんに全体予算を預けてトータルでマーケティングを行っている中で、Criteoだけ1つ抜き出して直接取引を行うのは、広告主企業にも負担が大きく、正直難しいと思います。SEMを任せている代理店にCriteoも任せるといった流れは多いですね。広告主企業の広告効果を最大化するために、代理店の皆さんと共に良いご提案ができるような関係を構築することが一番必要だと考えています。
また、日本では代理店と広告主の皆さんとの信頼関係ができており、それは代理店のご担当の方々が日々力を入れていらっしゃるのだと思います。

天野氏:インハウス運用においては、日本でも当社と広告主企業とで直接取引できるケースはあると思います。数は少ないですが、我々も数社直接アカウントを担当しています。しかし一般的には、事業全体の年間のマーケティング戦略や予算は代理店とお話しされているので、Criteoの話だけをしても本質ではないと感じます。もちろん、技術的な部分の実装は早いですが、事業のキーになるような会話の中でCriteoをご利用いただくには、日本の場合は代理店の皆さんにお任せしたほうが良いと感じています。

堀氏: 例えば、Criteoを活用して新規会員登録を増やすことをKPIにしたいというご相談をよくいただきます。お気持ちはよく分かりますが、もともとCriteoはそこではなく、流通総額や広告主企業の利益率を上げていくことにフォーカスした広告エンジンです。代理店の強みは、Criteoも提案しながら他の広告も提案していることだと思うので、新規ユーザーの獲得は他の手法でカバーしつつも、Criteoでは別の手法をとっていきましょうといったように、全体のコンサルティングを一緒に進められれば嬉しいです。

スター代理店制度と上位代理店との取り組み

天野氏:最近、Criteoでは代理店各社と強いパートナーシップを築くための制度「Criteo Certified Partners(スター代理店制度)」を作りました。サイバーエージェントは、高い販売実績と運用実績を有していることを意味する最上位ランクのフォースターになっています。代理店制度では、上位ランクを対象にしたプログラムだけでなく、今までお付き合いのなかった代理店の皆さんとチャレンジする「スターター」というプログラムも定期的に実施しています。Criteoは詳しく理解していないとパフォーマンスを最大化できないので、一緒に取り組みをするうえで、最初にきちんとご説明し、代理店各社との役割を双方に理解しあえるようにしています。

CA大久保:スターの数で代理店にランクをつけていますが、選出の基準は、実績とテストの結果でしょうか?

天野氏:そうですね。あとは貴社の澤田さんのように私たちと同等のレベルでCriteoを熟知している方がいるというのも、代理店制度の基準において大きなポイントになっています。そのような方がいらっしゃる代理店各社には、複雑な設計も含めたご提案を安心してお任せすることができます。Criteoをご活用いただいている広告主企業のアカウントに対してもっとパフォーマンスを出すために、ユニークな実装が必要になる場合があります。そのような時に、代理店の皆さんに深い知識を持っている方がいるというのがとても重要です。
そして実績が多いというのは、実際にそれだけCriteoを活用していただいてノウハウが溜まった結果だと思っています。Criteoのこれまでの進化や落とし穴のような部分も含め、全てを知った上で広告主の皆さまへのご提案や運用をしていただけるのはパフォーマンスを出す上で重要です。そういう実績がある代理店を市場の中で可視化するというのが、代理店制度の目的のひとつです。

CA大久保:今後、上位ランクの代理店向けに予定されている取り組みなどはありますか?

天野氏:そうですね。我々からの新しい情報もいち早くシェアしたいと考えていますし、また、Criteoの方向性について議論できる場も作っていきたいです。他にも、実績のある代理店の皆さんと一緒にセミナーやイベントも行っていきたいと考えています。

CA澤田:それは是非実施したいですね。

広告主企業・CRITEO社・代理店の3社でノウハウを溜めていく

CA澤田:数年前は、Criteoを取り扱う代理店は日本では当社を含め5社くらいだけだったのに比べ、現在はかなり増えていますよね。

天野氏:そうですね。でも専門性が高いなど特別な理由がない限り、新しい代理店を募ることはほぼありません。我々としては、同じ代理店と広告主企業と共に長いお付き合いを続け、3社でノウハウを溜めていくというのが理想です。

堀氏:Criteoは日本進出した初期の頃、なかなか受け入れていただけず、それまで主流だったSEMなどと比べた時に、なぜCriteoが必要なのかといった啓発から開始しました。そこに何か大きな良さを感じていただけないと、代理店の皆さんから提案していただけませんから。貴社の場合は、澤田さんのおかげで、一気に展開できたのかなと感じています。

CA澤田:当初は「CA DataFeed Manager(※2)」もなく、フィード、タグ実装の多くの部分を人的にやっていて苦労した時もありましたね。(笑)
※2 CA DataFeed Manager・・・サイバーエージェントが提供するデータフィード マネジメントツール。企業が保有する自社の商品データを各広告配信先のフォーマットに最適化し、追加・変更・削除などのオペレーションに関する管理コストの削減を可能とする。

リターゲティング広告に対する評価の変化

CA大久保:Criteoはずっと右肩上がりで伸びていて、ダイナミックリターゲティングを日本で流行らせたのは貴社だと言っても過言ではないと思います。その一方で、リターゲティング広告の効果をどう評価するか、という問題も上がってきています。その流れは日本ならではのものでしょうか?それともグローバルでも同様の議論があり、取り組んでいらっしゃることはありますか?

天野氏:日本では、貴社をはじめとした代理店各社を通じて様々なアカウントでCriteoを実施していただいていますが、もっと詳細なデータを元に、Criteoやリターゲティング広告についての啓発活動は行っていかなければならないと感じています。グローバルの場合はほとんどが当社と広告主企業とで直接やりとりをしており、広告主企業の課題に対し直接コミュニケーションとり、当社が蓄積したノウハウのもと、その業種に合わせた事情や見るべきKPIについて、アドバイスをしています。
ただ、日本に関しては、グローバルのノウハウをそのまま持ってきた時に、それが全てのアカウントに言えるのかというと、なかなか難しいと思っています。

CA大久保:おそらく、日本において積極的に広告出稿されている広告主企業がリターゲティング広告の効果をどう評価するかを悩み始めているのかなと思っています。

天野氏:そうですね。すでに認知度が高く、ユーザーもたくさんいる事業だからこそ出てくる課題だと思います。利益を確保するために、もともと認知しているユーザーに対しては、費用をかけなくても良いのではないかという考え方だと思います。

CA大久保:そうなった時に、日本における認知率が高く、既存のユーザーに対して費用をかけないということは、予算配分をどうするかというよりは、インターネットに限らず広告費を使うところがないという考えになってしまいそうな気がします。

天野氏:そうだと思います。ですので、例えば経営戦略上、日本はもう飽和状態だと判断して配信を止め、台湾や中国でも実施するという話になれば、我々もグローバルで事業展開しているので一緒にやりましょうといった話になります。でも、日本において広告配信を全て止めてしまうと、事業としての成長を止めてしまうリスクは大いにはらんでいると思います。

天野 耕太(あまの こうた) 氏

CRITEO株式会社 シニアセールスダイレクター

オーバーチュア株式会社およびヤフー株式会社において配信メディアネットワーク拡大に寄与。その後、インモビジャパン株式会社の立ち上げに参画し、スマートフォン広告事業の拡大に貢献。2012年よりパフォーマンスディスプレイ広告のCRITEO株式会社にて、配信ネットワーク部門を統括した後、2015年より営業部門の統括を務める。

堀 里恵(ほり りえ) 氏

CRITEO株式会社 チャネルセールスマネージャー

Email広告媒体社から、2002年Overture Japanのスタートアップに営業として参画し、広告代理店セールスを通じてSEM市場の認知・拡大に携わる。その後、Microsoftの新事業メンバーとして2006年に参画。セールスストラテジー/マーケティング部門を経て、ダイレクトセールスとしてディスプレイ広告だけでなく、Xbox Liveを活用した広告など新しい枠の提案と販売。2011年よりCriteo日本法人の立ち上げに営業として参画。2015年よりチャネルセールスマネージャーを務める。

大久保 晶平(おおくぼ しょうへい)

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 ディスプレイ戦略局 局長

2012年、サイバーエージェントへ入社。インターネット広告事業本部にて、スマートフォンの広告商品の拡販に努める営業として大手企業を担当。その後スマートフォン広告の専門部署にて、スマートフォンアドネットワーク広告のコンサルタント兼営業として取り扱い規模拡大に寄与。2013年にマネージャー、2014年に局長に就任し、広告商品のコンサルタント兼セールス組織の責任者を務める。2015年よりDSP、アドネットワークなどのディスプレイ広告商品のコンサルタント兼セールス組織の責任者を務める。

澤田 陽介(さわだ ようすけ)

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 ディスプレイ戦略局 シニアコンサルタント

2011年、サイバーエージェントへ入社。インターネット広告事業本部にて、大手人材系広告主の営業に従事。その後、大手不動産系広告主を中心にデータベース系の広告主のDSPコンサルタントとして従事。2013年よりCriteoの販売責任者として、Criteoを中心としたダイナミックリターゲティング広告の取り扱い規模拡大に寄与。

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