2015/11/16 Mon

消費者の気分を捉える動画広告の配信設計

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金子 雅也

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 クリエイティブソリューション局 プロデューサー/ディレクター 兼 オンラインビデオ総研所属

2006年、鉄道系ハウスエージェンシーへ入社。 マスプロモーションを中心とした広告業務全般に従事。 2014年、株式会社サイバーエージェントへ入社。 デジタルテクノロジー×オンライン動画を専門領域としたオンラインビデオ総研に所属。 オンライン動画における配信設計、効果指標測定、クリエイティブディレクションまで一気通貫した動画ソリューションを担当する。 <受賞歴>東京インタラクティブアドアワード、ACCなど

消費者の気分を捉える動画広告の配信設計

初めまして、オンラインビデオ総研の金子と申します。
昨今の動画市場の急速な伸張により、企業の動画を活用したプロモーションも増える一方です。そこで、「一体、なにを基準に動画プロモーションを選定すべきなのか?」と感じていらっしゃる企業のマーケティング担当者の方々に、“自社のブランド・商品プロモーションに合う動画広告戦略”のヒントを、本コラムから発見いただければ幸いです。

広告主が感じる動画広告の効果

企業の動画広告活用において、積極的に利用している企業もいれば、まだ積極的でない企業など、動画広告に関しての捉え方・活用状況はさまざまな状態です。
活用に積極的でない企業の理由の1つに、「動画広告の効果がよくわからない」(=効果指標の設定が定まらない)ということがよく聞かれます。

若年層のテレビ離れが進むという時流のなか、YouTubeに広告枠が誕生し、テレビCMでリーチ出来なかった層へフォローアップしていく有効手段としてWEB動画広告の活用が増え始めました。そして、WEB動画広告の配信実績から見えてきたキーワードは「態度変容」でした。

以下は、WEB動画広告への接触/非接触ユーザーにおける認知度・購入意向度の差異を調査したものです。WEB動画を視聴した接触ユーザーのほうが、企業のサービスや商品の認知度・購入意向度のスコアが高いという傾向が見られます。

【WEB動画広告:態度変容差異について】※配信実績レポートより
また別の事例として、以下は、2014年に【テレビCMのみ】の配信を行った際と、2015年に【テレビCM+WEB動画広告】での配信を行った際のキャンペーンのアクセス数の比較です。
検索行動や次のアクションへの遷移においても、【テレビCMのみ】と比べ、【テレビCM+WEB動画広告】の方が伸びていることが分かります。

【テレビCMのみ】と【テレビCM+WEB動画広告】の検索比較
その視聴態度や効果特性を踏まえ、動画クリエイティブは、当初は【テレビCM素材流用】がメインでしたが、今ではオンライン上のユーザーに、より届くような工夫を凝らす意義を見つけ【オリジナル動画制作が活発化】し、動画広告における戦略の変換期を迎えています。
以下の広告主向け調査にもあるように、WEB動画広告を活用している企業のうち75%が、WEB向けのクリエイティブを制作しています。

【動画広告クリエイティブ素材について】
※動画広告を活用している広告主にアンケート

目的を明確化させることが、成果をわける

今後も、大きな流れとしてWEBオリジナル動画が増えていく流れが予想されますが、コミュニケーション戦略を立てる際は、「目的の明確化が成果をわける」という意識を強く持つ事が必要だと思います。
「広告かコンテンツか?」「認知か購買か?」・・・目的の明確化により、定めにくいと言わているKPIの設定、測定方法も設定することが可能となります。

話題化は、目的でなくブランドや商品メッセージの共感の結果であり、‘バズる’のような目的と手法を混在させてしまい、動画は話題になったけど、企業・商品名が出てこない・・というような、後々評価に困るような事態は避けなければなりません。

あくまでもブランドメッセージや商品の動画を視聴してもらう工夫を突き詰めた結果、話題化を視野に入れた戦略としての採用があり、効果指標はブランドリフト・再生回数・年間の広告費用対効果への貢献度など振り返り指標も含め、実施前に「何のために動画配信をするのか?」ということを、より明確にしていく必要があります。

購買を目的とした動画配信においても、ターゲットは新規層なのか顕在層なのか?と、戦略を明確にする必要があります。ユーザーに視聴選択権があるWEB動画では、言いたいことだけ詰め込んだような一方的な広告はもちろん嫌われます。商品訴求に特化したような内容の広告であれば、顕在層・潜在層にのみ配信するようなプランニングなど、KPIによって設計もクリエイティブも幅が大きく変わっていきます。

動画広告効果を最大させるトリガー

動画広告効果を最大化させるトリガーは大きく2点。
「配信設計」×「クリエイティブ」です。

1メッセージで消費者と繋がろうとしているのがこれまでのマスコミュニケーションであるとすれば、これからは、1つのコンセプトから生まれるマルチなメッセージでアプローチし1to1コミュニケーションを目指していく、ということです。クロスメディアを経て、オリエンテーションやプランニング段階においてスタンダードになっているこの考え方も、インターネット広告の進化において、実現可能な段階がきたと言われています。

しかしながら動画広告においては、テレビCM出稿に限りなく近い、デモグラフィックターゲティング主体の戦略に終始していることがまだまだ多いようです。

そもそもユーザーに視聴選択権があるオンライン状況下では、「見たいと思う広告」「顕在化・潜在化しているニーズとマッチした広告」「それら以外のいわゆるユーザーから嫌われる広告」は、視聴単価が高くなり配信効率が悪化していく原則の流れがあります。
そのため、最適化を図る「配信設計」が肝となり、代理店はより緻密なプランニングと実行力が求められます。
消費者にとって、「朝と夜」「晴れと雨」「月曜日と週末」などでは、気分は大きく違います。その気分の違いの数だけ、メッセージ到達の深さを改善できる“トリガー”があると考えています。

【気温に連動した動画広告配信のイメージ】※モーメント配信
先日弊社では、気温やニュースなどの環境要因と連動した動画配信サービス「モーメント配信」を開始しました。本サービスは、消費者と企業(商品)を結ぶトリガーを探り、動画広告においても運用力で効果を出す、という”戦略策定と実行体制”をソリューションとして提供できることを目指したサービスです。

たとえば、夏でも、27℃の気温と35℃の猛暑では、消費者の潜在需要やメッセージを受け取る深さは変わります。気温に合わせたクリエイティブを出し分けることで、広告効果はどうなるでしょうか?
気温などの外部環境と連動して動画配信を行う「モーメント配信」から、実例をご紹介します。
<<気温連動配信:視聴後アクションに大幅改善>>
概要:
①夏に商戦期を迎える「冷たい爽快感」が特徴の商品に対して気温連動配信を実施。
②気温に合わせたクリエイティブを複数リメイクし、気温によって動画クリエイティブを出し分け。
 
結果:CTRが通常配信比432%の大幅改善に成功
また、弊社オリジナルターゲット配信設計比では、368%の改善に成功しました。
結果として、ユーザーの視聴リアクションは大きく変化しました。
本事例は気温に連動した配信でしたが、その他にも、時間帯・時事ニュース・トレンド・スポーツ結果など、消費者の気分が変わるタイミング・環境要因を取り入れたアプローチと連動して動画広告を配信することに、大きな可能性が見込めそうです。

動画広告の配信設計が進まない3つの理由

消費者の気分によりメッセージを変える配信設計ができない理由として、3つの要因が考えられます。

 1.「クリエイティブ供給の問題」
 2.「広告代理店側での効率性の問題」
 3.「広告主側での体制機能(チェック)の問題」


1.「クリエイティブ供給の問題」
詳細は割愛させていただきますが、デイリーで複数の動画を用意するような従来の制作工程そのものを変えてしまうサービスなど、市場として動画制作におけるニーズに対応しようとするサービスが続々と出てきており、対応が可能となってきています。

2.「広告代理店側での効率性の問題」
前述の“トリガー”のように、デイリーでクリエイティブの出しわけの調整をするような繁雑な設計・実行・検証という工程を、収益化し実現する構造・体制を持ち合わせていないことが主な要因でした。収益構造の変革は長い期間を要するため自動最適配信ツールの開発などで課題解決を図ろうという動きがでていますが、実績・ボリューム検証も含め、もう少し時間がかかると思われます。

3.「広告主側での体制機能(チェック)の問題」
企業の戦略や方針の決定後に、設計・実行・検証のPDCAを回してくれるパートナーの選定を重視し、検証結果や今後の戦略の効果を予測したうえで、体制構築を緩やかにシフトしていくことで改善が図れると考えます。

マスマーケティング×ダイレクトマーケティング運用体制の魅力

「晴れ雨」「気温」といった天候によってクリエイティブを出し分けるような、環境要因と連動したクリエイティブの運用を行うことで、ターゲットにアプローチし、効果改善を図る高速PDCA運用は、元々ダイレクトマーケティングでは当たり前のように構築されていました。
サイバーエージェントでも広告運用強化を目的とした子会社C.Aアドバンスを東京・大阪・仙台・沖縄・ベトナムに設置し、運用力にプレゼンスを発揮しています。

生活のほぼすべてがオンラインに囲まれマスマーケティングとダイレクトマーケティングの領域が溶けたいま、消費者の気分「瞬間」をとらえる戦略設計とその実現は、効果に差異を生みだします。
マスマーケティング戦略にダイレクトマーケティングの運用体制を取り入れていくことは、「ブランド・商品のメッセージを、より深くターゲットへ届ける戦略の実現」の選択肢として有効ではないでしょうか。


動画広告における“配信設計”はまだまだ踏み込める余地を残しており、企業・商品にあった独自のトリガーを発見し、クリエイティブを精査していくことで、今後のマーケティングに活用できる1つの財産になっていくと考えられます。


気温やニュースなどの環境要因と連動した動画配信サービス「モーメント配信」の詳細は【こちら】
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