2016/3/15 Tue

【現地リポート:1】今年30周年の「SXSW 2016」が注目される理由

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SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)とは?

SXSWとは、ミュージック、フィルム、インタラクティブの3要素で構成されている、クリエイティブ・ビジネス・テクノロジーのフェスティバルです。端的に表現すると「なんでもあり!」ですが、そのすべては「デジタルが根底にある」「どこか未来的な」モノやコトの祭典です。1987年にミュージックからスタートし、1994年には世界に先駆けてインターネットとデジタルのコミュニティを取り込み現在の形に変化。今年で30周年を迎えますが、年毎に規模が拡大し、今日では10日間でのべ10万人を動員、約380億円の経済効果をもたらす、世界最大級のビジネスフェスティバルに成長しています。その象徴的な出来事として、アメリカ大統領のバラク・オバマ氏とミシェル・オバマ夫人が基調講演に登場するほどです。

また、SXSWの特徴として“「インディーズ精神」こそ評価される場所”というポイントもあります。SXSW Interactive代表の「ヒュー・フォレスト氏」はこのような言葉で表現しています。

「SXSWはコミュニティである」

つまり、完成されたものよりも、未完成だがイノベーティブなモノコトを評価し、その可能性について議論を交わしながらより良くしていく場という特徴も強く感じました。(もちろん中には完成されたものもあります。)
また、「テクノロジー万歳!」というそれ自体を評価するというよりも、そのテクノロジーが普及した後どうなるのか、普及したことでの課題は何なのか、という「普及前提」で未来の議論をしていく考えも多く見られました。議論されるものは、テクノロジーを核としたプロダクト、サービス、デザイン、アイデア、またそれらの思想など、扱われるものも本当に多岐にわたっています。それらを広告的視点でみると、「広告の未来図」を構成する様々なテクノロジーも多く見られました。また扱われるモノが多岐にわたっているからこそ、SXSWにスポンサードしている企業も多彩です。

今年のSXSWは、AR/VRが熱い。

1,200以上のセッションが同時に多数行われているSXSW Interactiveでは、多彩なセッションが行われているため、何を見るかも非常に迷います。その中で、私は2016年に追加された「AR/VR」に注目しました。というのも、SXSWの中心であるオースティンコンベンションセンター内やそれに近接するイベントスペースで最新「AR/VR」の展示が行われていることからも、「AR/VR」に関して多彩な議論を生み出そうとしていることが分かります。ご紹介できるのは一例ですが、参加するのに行列が出来るほど人気だった3つの事例を紹介します。


1.「Moveo」を体験。
企業が提供するAR/VRの事例、1つ目は、KRUSH社(http://www.krush.com/ )が展示していたVR技術です。
これは端的に説明すると、VR技術と360度回転アトラクションが融合された「フリー回転VRシミュレーター」です。VRヘッドマウントディスプレイ(Oculus Riftを使用していた)の映像とプレーヤーの操作に合わせ360度自由に可動する筐体で、限りなく現実に近いゲーム感覚が体験できました。非現実へ没入させるタイプのVRコンテンツと言えます。この「Moveo」の考えられる活用方法は、ゲームセンターやテーマパークのアトラクションにとどまらず、話題性の求められる広告活用なども考えられます。
2.「SAMSUNG VR」を体験。
2つ目は、今年のSXSWでスポンサーになっているSAMSUNG社が提供する体験型VRです。
まず、特殊なモーターが仕込まれた座席に座りシートベルトをしめて、Gear VRとヘッドフォンを装着すると、軽快な音楽とアミューズメントパークの映像が流れ始めます。すると突然座席が動き出し、自分はジェットコースターの先頭車両に乗っているような状態に!上空から360度見渡す事ができ、下を向いた際はその高さに身震いがするほどリアルな感覚がありました。
これをリアルなジェットコースターで活用できるとすると、例えば宇宙空間を疾走しながらエイリアンを倒す等のゲーム性を持たせるなど色々な可能性がでてきます。フィジカルとデジタルの融合でもたらされる体験の可能性を現実にした事例です。
3.McDonald's社のAR/VRを体験。
3つ目は、McDonald's社が提供していた体験型VRです。
Gear VRを頭に付け、色を変えるコントローラーと筆質を変えるコントローラーの2台を両手に準備し、McDonald's社オリジナルの360°のキャンバスに実際に絵を描いていきます。直感で至る所に落書きができ、描き終わった後は、360°の中から自分の好きな構図を切り取り、別ブースで写真化する事が可能です。同時にそのブースでは、自分が体験している様子をGifアニメーション加工したデータを、SNS上に投稿することが可能となっていました。VRの技術を使い、ユーザー自身が表現しながら体験するという事例です。

体験の熱量をシェアする装置。

上記の3つの事例はリアルスペースを使った事例ですが、ここで課題となるのが、「体験した人だけにしかその面白さが伝わらない」ということです。狙うべくは体験者がそのコンテンツの拡散者、推奨者となって人が人を呼ぶ状態です。それを解決している装置もうまく機能していました。
まず、どのVRコンテンツも自分が体験した際の写真や動画、GIFアニメーションなどを生成する仕組みを用意しており、その自分が体験した証を「直感的」にスマートフォンに送信したり、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアなどに投稿できるデバイスが必ず設置してありました(http://www.keshot.com/ )。日本においてもこのような装置はありますが、私が知ってる限りの中では、それらよりも格段にUIUXに優れており直感的に操作できる点で勝っていると感じました。実際、ほぼ100%に近いユーザーがそれを活用して「体験を保存&シェア」していました。

SXSWアクセラレーターコンペティションアワード

SXSWアクセラレーター・コンペティションアワードは、世界中の新興企業が先進的なテクノロジーや革新的なプロダクトなどを持ち寄り、集まった多くの企業と競い合うコンペティションイベントです。審査は、観客や審査員及びホストによって行われます。厳正な審査の結果、総合的に最も高い評価を得た革新者のみが栄誉を讃えられる、SXSWにおいて非常に注目を集めているイベントです。
カテゴリーは大きく以下の6つに分けられ、多彩なファイナリストから各カテゴリーの優勝者が決定したのでご紹介します。
■ENTERPRISE AND SMART DATA
優勝企業名:parknav(画像1)
URL: http://parknav.com
説明:parknavは車を運転している人に、駐車できる場所をリアルタイムでナビゲートしてくれるサービス。現在アメリカとイギリスの70都市以上で24時間毎日使用されている。

■ENTERTAINMENT AND CONTENT TECHNOLOGIES
優勝企業名:PopUp Play(画像2)
URL: http://popupplaytoy.com
説明:スクリーンで描いたものを、実際にリアルで組み立てるという、デジタルとリアルの融合体験を子供に与えるサービス。

■HEALTH AND WEARABLE TECHNOLOGIES
優勝企業名:MUrgency(画像3)
URL: http://www.murgency.com
説明:携帯をタップすることで、誰が、いつ、どこにいても緊急の容態悪化を通知してくれるサービス。

■INNOVATIVE WORLD TECHNOLOGIES
優勝企業名:Rorus(画像4)
URL: http://rorusinc.squarespace.com
説明:最先端のナノテクノロジーとユーザー中心設計のシンプルなデザインを兼ね合わせた、水を運び、浄水できるリュック。

■PAYMENT AND FINTECH TECHNOLOGIES
優勝企業名:Chroma(画像5)
URL: https://chroma.fund/
説明:民間市場に非公開会社の株を取引でき、スタートアップ企業や、中小企業の成長を手助けする証券プラットフォーム。

■VERTYAL REALITY TECHNOLOGIES
優勝企業名:splash(画像6)
URL: http://getsplashapp.com/
説明:携帯だけで撮影した360°の動画を、SNS上でVRとして拡散できるサービス。

■Best Bootstrap Company (the company who has done the most with least)
優勝企業名:Hearken(画像7)
URL: http://www.wearehearken.com/
説明:ジャーナリストがパートナーとマッチングし、効率よく、高いパフォーマンスを出しやすくするプラットフォーム。

■Most Innovative Company
優勝企業名:vantage.tv(画像8)
URL: https://vantage.tv
説明:VRを通じて、ライブやイベントなどの最高の一席を提供するサービス。

■OneMinute Pitch
優勝企業名:Knocki(画像9)
URL: https://knocki.com
説明:サーフェイスで自分の好みの行動を登録できるスマートディバイス。



--次回に続きます。



筆者:株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部
クリエイティブ・テクノロジー局
局長 二宮 功太 / プランナー 並木 玲旺奈


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