2017/7/12 Wed

「リーチ」の一歩先へ 〜ブランド広告効果指標:CPB(コストパーブランドリフト)〜 

金子 彰洋

株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業本部
第1本部 次世代ブランド戦略室
マーケティングサイエンスユニット
局長

国内のインターネット広告費は1兆3,100億円にまで成長し(*1)、唯一の二桁成長を遂げています。中でも、スマートフォン広告、インフィード広告、動画広告の成長は著しい状況です。特に、動画広告においては、2020年に2,309億円に達する見込みで(*2)、最近では、従来テレビCMを中心に広告出稿を行ってきたブランド広告企業の活用も進んでいます。

*1 2016年日本の広告費(電通調べ)より
*2 2016年国内動画広告市場調査(サイバーエージェント/デジタルインファクト調べ)より
そのような市場感のもと、ブランド広告企業のお客様から、「動画広告の最適な投資はどのくらいか?」「効果指標をどうすべきか?」というご相談をよく頂くようになりました。
動画フォーマットだけではなく様々な広告フォーマットが混在する中で、インターネット広告を正しく横軸評価するためには、「どのメディア」が、「どのターゲット」の、「どういった指標に効くのか?」ということをきちんと分析しながら、最適なメディアプランニングを行わなくてはなりません。

横軸評価としては、動画広告が盛り上がり始めてきた2年ほど前であれば、YouTubeやFacebook、Twitterなどの媒体において共通で追うことができる「視聴完了」を指標にしているケースが大半でした。しかし、各広告フォーマットにおける視聴完了率が大きく異なったり、視聴完了とブランド企業が求める広告効果の相関性が低かったり、逆に数秒の視聴でも求める広告効果が発揮されたりという事実が見えてくる中で、「視聴完了」を見るだけでは各媒体・フォーマットが横軸比較が正当にできない状況がありました。

そこで、ウェブ上の指標のみに留まらず、ブランド広告効果の指標となる「ユーザーの態度変容(ブランドリフト)」をそれぞれ追うべく、ブランドリフト調査を行うようになり始めました。
しかし、ブランドリフトは「上がり幅」を把握する調査であるためにコストの概念がなくなります。そのため、ブランドリフト調査は、上がった/上がっていないという「効果」の話に終始し、「効率」の話がすっぽり抜けてしまうケースが散見されていました。


たとえば、1,000万円予算投下し、媒体Aは20ptリフトアップ、媒体Bは10ptリフトアップとなった場合、もちろん媒体Aの20pt向上のほうが「効果」が良いです。しかし、リーチ単価が媒体Aは50円、媒体Bは5円であれば、結果として媒体Bのほうがブランドリフト獲得の「効率」は良いという結論になります。
そこで、視聴完了やブランドリフトの次となる、ブランドリフトにコストの概念を加味した新しい効果指標、CPB(コストパーブランドリフト)を提唱しました。

提唱するCPB(コストパーブランドリフト)とは

「コスト」「リーチ」「態度変容」の3つから、例えば、10ptのリフトアップがあった際、リーチユーザーが400万人の場合、40万人は態度変容したと想定できます。投資コスト1,000万円を40万人で割れば、一人当たり態度変容単価単価が算出できます。これで横軸評価にして追うことが可能です。
つまり、メディア間評価やメニュー間評価、またクリエイティブ評価も可能となるため、PDCAに活かすことができるようになります。

CPB(コストパーブランドリフト)の3つの良い点とは

1.投資対効果の可視化が可能

媒体横断の横軸評価が可能

Norm値によってある程度シミュレーションが可能
CPB(コストパーブランドリフト)の良い点は、投資対効果の可視化とメディア横断の横軸評価ができるということに加えて、ある種Norm(標準的・平均的)となるように、結果を溜めていけるという点です。

Norm値によってある程度シミュレーションが可能というのは、例えば、ある商品におけるブランド認知のCPB(コストパーブランドリフト)が、媒体Aで100円、媒体Bで150円、媒体Cで85円の実績だった。2回目には、CPBの良かった媒体Cで配信したときに、クリエイティブⅠで80円、クリエイティブⅡで95円だった。
そうすると、「クリエイティブⅡはやめてクリエイティブⅠに寄せよう」「ざっくり100円以下は狙えるよね。100円を切れば今回は効率が良かったよね」という会話ができるようになります。そして、やり続けることにも意味があります。

CPB(コストパーブランドリフト)では、このクリエイティブが良かったのか良くなかったのか、というある程度細かい粒度で分析ができるということが、この指標のいいところかなと思います。
 

CPB(コストパーブランドリフト)という効果指標の開発に至った背景

ブランド広告の効果指標において、KPIとなりうるものは大きく4つくらいに集約されると考えています。
「リーチ」「ブランドリフト(態度変容)」、クライアントによっては「来店」、そして、「購買」です。
よりビジネスに近い指標となる来店や購買は、テクノロジーの進化やデータ整備の真っ最中ですので、現在の最大公約数として、ブランドリフトの指標化に取り組みました。

お客様からは「リーチの一歩先にいきたい」というご相談をうけます。
リーチした後でブランドリフトにつながったのか、購買につながったのかが可視化されないと、変な話、低単価なアドネットワークをとにかく大量出稿することが正解になりますが、感覚的になんだか違うはずです。よって、リーチの一歩先となるブランドリフトの効果と効率を可視化できるCPB(コストパーブランドリフト)の開発に至りました。

この計算式で個人的に面白いと思っているところは、CPB(コストパーブランドリフト)を算出するだけでなく、その裏側にある配信の基本『リーチ&フリークエンシー』をきちんと分析できるという点です。

『リーチ&フリークエンシー』
広告を何人に何回配信するかという話なのですが、CPB(コストパーブランドリフト)だと、リーチはそのまま計算式に入っているので言わずもがなですが、ブランドリフトとフリークエンシーに相関があることは明確化されていますので、この両方がきちんと加味されることになります。とにかくリーチを伸ばしていれば勝てるというわけでもなく、フリークエンシーをかけまくってブランドリフトを上げてもリーチが減るのでそれも考え物・・・
CPB(コストパーブランドリフト)を高めるためには、そこのバランスごと分析しなくてはいけないのです。概ねの変数がこの数式に含まれている、ということが面白いポイントかなと思っています。

CPB(コストパーブランドリフト)をKPIに置くときに気を付けるべきこととは?

B(ブランドリフト)の置き方ですね。
当たり前ですが、ブランドリフトの定義はプロモーションの目的に応じて設定する必要があります。ブランド認知や、その商品の特徴認知、好意度、購入意向、純粋想起など、様々なブランドリフトがありますが、その商品の課題やフェーズにおいて、認知を上げるということが売り上げにつながるのか、もしくは認知はされているけど特徴が分からないから買ってもらえないのか、ビジネスにしっかりとヒットするKPIにすることが重要です。
​メディアプランの評価とPDCAがマーケティングとして機能させるように気をつける必要があります。

最後に・・

デジタルはやはり一回やって終わりというものではなく、分析して次に活かしていくPDCAが肝です。そして、そのスパンを極力短くしていくことも求められます。例えば、Facebookの推定広告想起リフトのように、リアルタイムに可視化される仕組みも生まれています。先に述べたように、テクノロジーの進化に伴い、来店や購買など実行動まで計測可能な世の中になっていきますが、「ブランド広告指標×運用」でPDCAを回していくために、手始めにCPB(コストパーブランドリフト)の効果指標を活かしてみていただきたいです。
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