2015/2/16 Mon

SEMの運用に求められるものがどう変わってきたか ~DTCとExcel 65536行の時代~

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SEMの運用に求められるものがどう変わってきたか ~DTCとExcel 65536行の時代~

中田 裕司

株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部 エグゼクティブコンサルタント

某消費財メーカーを経て、SEM事業を展開するサイバーエージェントの子会社に入社。その後本体に吸収合併となり、現在に至る。

はじめまして。株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部の中田と申します。
私がSEMに携わり始めてから、早いものでまもなく10年目に突入します。SEMへの関わり方やその深さは様々で、SEMコンサルタント、自動入札ツールのセールス、新規開拓営業、アカウントプランナーなどを歴任してきました。
そして、この9年の間でYahoo!、Googleを始めとした広告配信プラットフォームの進化や、またそれを取り巻く3rdパーティーツールの進化、ユーザーの行動様式の変化等により、SEMの運用要件は刻々と変化してきています。

以降数回に渡り、運用代理店の視点から、SEMの運用要件がどのように変化してきたかを、私の思い出とともに振り返ってみたいと思います。
私がSEMコンサルタントとして入社したばかりの2005年~2006年は、今のYahoo!プロモーション広告がまだオーバーチュア(Overture)だった頃で、「DTC」と呼ばれるシステムでした。そのシステムは、ご丁寧にもそれぞれのキーワードにおいて、どの広告主がいくらの金額で入札しているかどうかが丸わかりになる仕様でした。

また、当時は“品質”という概念も無く、とにかく入札単価が高い方が上位に表示されるという単純明快なオークション形式だったのです。
そんな中、当時一世を風靡した施策と言えば、競合より1円安く入札し相手のコストを圧迫するというもの。実質CPCが1つ下のランクの入札金額+1円という算出方法であったため、1位が100円で入札していた場合、同じ2位を取るにしても99円で入札することで、競合の実質CPCを引き上げ、じわじわダメージを与えようというものです。

そのため順位管理の専任が管理画面に張り付き、常に競合の入札状況をチェックしながら、1円安く入札する。しかし、こちらが後ろにピタリと張り付けば、競合は単価を下げて我々の後ろにピタリと張り付いて来る、それに応じてまたこちらが下げれば、、、ということの繰り返しで、レスリングさながら、昼夜を問わずひたすらにバックの取り合いが繰り広げられていました。
また、この頃のGoogleにはまだ「AdWords Editor」が存在せず、全て管理画面から入稿をしていました。

数百のキーワードを追加しようものなら、
「Ctrl+C(Excelのセルをコピー)」→「Alt+Tab(画面の切替)」→
「Ctrl+V(AdWords管理画面へ貼付け)」→「Alt+Tab(画面の切替)」→ 
「矢印↓(次のセルへ移動)」→「Ctrl+C(次のセルをコピー)」
を、ただただ数時間に渡って繰り返すこととなります。

更に、当時の「Microsoft Office Excel」は行数が約65,000しか無く、PCのスペックも低かったため、たった10万行のキーワードレポートを作成するのも一苦労。今であれば、ボタン1つで出力できるレポートを、当時はAccessなども駆使し数時間かけて作成していました。ときには数字がどうしても合致せず、数日に渡りレポートを作成し続けるなんてこともありました。

当時を振り返ってみると、SEM運用に必要な要件は「人的リソースを元にした運用体制と仕組みの構築」だったと思います。システムの整備がまだまだ進んでいなかったため、「1日に●回、入札します!」とか「24時間365日対応します!」「●万キーワード追加します!」のようなオペレーションを、基本的には気合とセットで人的リソースに頼って実現していた時代でした。
消耗戦というか、体力勝負というか、総力戦というか、そんな日々でした。
そういえば、この時代に発売されたMr.Childrenのアルバム『HOME』の中に「彩り」という曲があり、これは「俺たち(私たち)リスティンガーへの応援歌だ!」と思いながら聞いていたのを覚えています。
(Mr.Children公式チャンネルより)

特に刺さったのは歌詞のこの部分です。

「僕のした単純作業が この世界を回り回って
 まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく」

これは今も昔も変わりませんが、我々が扱っているものはあくまでも「広告」であり、imp数でも無ければ、CV数でもありません。広告の先には必ず「人」がいることを忘れてはいけないと思います。
私は入社して間もなく、ECのお客様を担当することとなりましたが、初めて自分で考案して追加したキーワードからCVが上がった時に、とても嬉しかったことを覚えています。自分で考えたキーワードと広告文を経由して、購入に至った商品が、その人の一生の宝物になったら素敵だなぁ、なんて考えていました。

最後、話が大きく逸れてしまいましたが、第1回はこの辺りで締めさせて頂きます。お付き合いいただきましてありがとうございました。

次回は「第一次自動入札ツールブーム」以降について取り上げていきます。
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